インターネットが世の中に普及して約20年になります。
当初からネット・ホームページと不動産仲介業は非常に相性が良いとされ、仲介業界のあり方や問題の多かった業界体質の改善が急速に進むのではないかと予想されました。
しかし、ネットが普及して早や20年になるのに、業界の体質にはあまり変化はみられません。
その原因は何なのか、理由としてどんなことがあるのか、反省をこめて考えてみました。
まず、業界側の理由・原因について述べます。
両手仲介と片手仲介という業界用語があります。同じ物件を仲介しても、売り手と買い手の両方から仲介手数料を受け取るのが両手仲介です。弁護士の世界では「双方代理」「利益相反行為」として固く禁じられています。
米国の不動産仲介業界でも大部分の州で両手仲介は原則禁止です。売り手と買い手では、価格や物件詳細の開示をめぐって、「利益相反」の関係にあるからというのが主な理由です。
ところが、我が国の不動産仲介業界では、レインズへの情報登録(世間一般への情報の開示)は形式的には一週間以内にするのですが、登録された物件情報を見た同業者からの問い合わせには「昨日決まりました」「商談中です」という口実で、事実上の「情報の囲い込み(秘匿)」「両手数料ねらいの」アンフェアーな手法がまかり通っています。
買い主の利益のために働く「バイヤーズエージェント」が普及しない最大の原因だとされています。
次に、お客様側の事情についてです。
普通の人にとっては、住宅を買う経験は一生に一度です。日常的に買い物をする食料品や衣料品は、店の良し悪し、品質、価格は経験・体験を通して、分かりすぎるほど分っています。
お客様にとっては、一生一度の経験というところに、業界体質の改善が進まない最大の理由があるのではないか・・・・・、強く感じます。
仲介業者としては、買い主との出会いは一生に一度です。普通の消費財と違って、お客様にリピーターになってもらうことは期待しにくいこととされています。
仲介業者(売買に限れば)にとっては、目の前のお客様に何とかして、目の前の物件を購入してもらう・・・・・、それしか頭の中にない・・・・・、といっては云いすぎでしょうか。
当社の不動産事業部も、設立して15年余り、ネット・ホームページを通して豊富な物件情報を福島市内に限定して提供し、お客様との信頼関係を何よりも大切にして事業展開を進めたい・・・・・、そんな思いにいささかの変更もありませんが、「百年河清を俟つ」「陽暮れて、道遠し」の感も否めません。