ネット不動産フロンティアノート



ネット不動産の経営・・・ No.8-3

ネット不動産の商圏分析・差別化・について分析・考察してみます。

企業経営として成り立つ最小商圏として人口5万人、2万世帯の地方都市を想定して試算します。


賃貸仲介部門の年間売上の試算

世帯数借家率4年に1度の住み替え 安全係数年間賃貸需要
20,000戸× 0.4× 0.25× 0.5= 1,000戸
賃貸需要自社占有率仲介料平均賃貸部門売上
1,000戸×  0.1  × 40,000円  = 4,000,000円 

売買売上部門の年間売上試算

世帯数持家率50年に1度 の買い替え売りと買い安全係数年間売買戸数
20,000戸× 0.6 × 0.02 ×  2 × 0.5 = 240戸
売買戸数自社占有率仲介料平均売買部門売上
240戸  ×  0.1  × 350,000円  = 8,400,000円  

賃貸仲介、売買仲介の年間想定売上を合計すると1,240万円です。

人口5万人の地方都市には、30社程度の宅建業の免許を持つ不動産業者が存在すると推定できます。建設業などの兼業を除けば、仲介専門の業者は20社程度でしょう。

この約20社の仲介業者が、お客さまの獲得競争をしているわけです。

上記試算に基づけば、地域内の賃貸部門の市場は年間約4,000万円、売買部門は年間約8,400万円、合計しても1億2,000万円強のマーケットです。

1億2,000万円の市場で、20社が生き残りをかけた競争をしているわけですから、何でもありの、目先だけの成約・売上至上主義の陥り易い体質であることが分かります。

なお、安全係数を0.5とみる根拠は、地域の特性や景気変動について慎重に見る必要があるからです。

人口5万人、世帯数2万にほぼ該当する福島県内の小都市についてホームページの活用度合いを調べてみました。

福島県内の地方都市を南から並べて比較してみました。不動産ポータルサイトを除き、独自のホームページを開設している会社の数です。

都市名 人口ホームページを持つ 仲介業者数
白河市 6.5万人16社
須賀川市 8万人12社
二本松市 6.2万人 6社
喜多方市 5.5万人 5社
南相馬市 7.2万人11社
相馬市 3.9万人 7社

この表からも分かることは、人口5万人〜8万人程度の地方都市では、インターネット・ホームページを保有している仲介業者は、意外に少ないということです。ネット不動産に特化した会社は、ほんの数社です。

人口移動が少なく、中心部が徒歩圏内におさまる小都市の場合、手間ヒマかけてホームページを開設しなくとも、そこそこやっていけると判断する経営者と、今さらホームページ開設の資金投入と人材の採用までしなくとも、自分一代限りで仲介業を終わりにしようと考えている経営者が多いのかもしれません。

傾向として言えることは、首都圏に近いほど、独自のホームページを開設している仲介業者が多いということです。地域住民のインターネット利用・普及の進度を反映したものなのか、経営者の意識の差なのか、地域内の競争の差なのか、今後の研究課題です。

いずれにせよ、福島県内の人口5万人〜8万人クラスの小都市では、仲介業者のネット化はそれほど進んでいないことが分かりました。どうすればよいのか分からない、あるいは、やる気を失っている経営者も少なくないことも分かりました。

次に、当社が営業エリアとする人口30万人、世帯数11万5千の福島市について詳しく分析してみます。

宅建協会の会員が207社、全日協会の会員が39社です。合計246社が宅建業の登録業者です。

建設業やリフォーム業者、測量業などの兼業組を除く、約200社が不動産仲介業の専業業者と推定できます。

2010年8月現在で独自のホームページを開設している会社は68社です。3分の2ほどの仲介業者はホームページを開設していません。

ホームページを開設していない仲介業者の半数程度が仲介業の前途に見切りをつけ、自分の代で廃業を覚悟しているように見受けられます。

ホームページを開設している68社の現状はどうでしょうか。

大部分の会社が、インターネット・ホームページの活用以外に生き残る途はないことは分かっていながら、具体的にどんな手を打てばよいのか悩んだり、迷ったりしているのが実情ではないでしょうか。

インターネットとホームページのフル活用によるネット不動産の経営を軌道に乗せ、生業レベルを抜け出し、経営体・企業として安定させるのは、実は容易なことではないことがよく分かりました。

独立した商圏を形成している30万都市の場合、「地域名(都市名)+不動産」「地域名+賃貸」といったビックキーワードでの検索エンジン上位表示は、今のところ絶対的に優位であり、そのためのSEOも必要不可欠です。

しかし、ネット時代のお客さまは日進月歩で変化しています。最初は、ビックキーワードで検索を始めたとしても、しだいに、自分の検索する町名や種別(土地・中古建物・マンション・賃貸マンション・賃貸アパート)で検索するようになり、最近は固有のマンション名等で検索する人も増えています。

ビックキーワードでの上位表示だけでなく、ニッチキーワードの複数組み合わせによるアクセス客の増加も視野に入れたSEOが求められる時代になってきました。

一つひとつのキーワードでのアクセス数は少なくとも、ニッチキーワードの組み合わせを分析・検討し、ニッチキーワードのロングテール化によるSEOは、今後一層重要になることはまちがいありません。

加えて、ニッチキーワードでのアクセス客は、購入意欲・賃貸意欲の高いお客さまであることが分かっています。

ホームページのアクセス客の量だけでなく、意欲の高い、仲介業者の立場からみて「質の高い」アクセス客にいかに多くみてもらえるかというSEOの質が問われる時代になってきました。

ネット不動産のロングテールにはもう一つのロングテールがあります。それは、お客さまのロングテール、購入見込客のロングテールということです。

売買仲介業者の立場からは、お客さまを「今すぐ客」、「じっくり客」、「そのうち客」、「ひやかし客」に分類して対応することが大切だとされてきました。

ベテランといわれる営業マンには「今すぐ客」を経験とノウハウで見分け、条件の悪い順から現地案内をして、最後に最もお客さまの条件に最も合いそうな物件を案内して、強引に即決をせまる手法があたりまえとされていた時期もあったようです。

しかし、インターネットがこれだけ普及した現在、「ベテラン営業マン」の出番は目に見えて減っています。

替わって登場したのが、ネット店舗・ホームページとメール営業による農耕型営業・ロングテール営業です。

ネット店舗に来店(会員登録・マイページ登録・メール問い合わせ)するお客さまを「今すぐ客」か「じっくり客」かを区別することは困難なことです。

「今すぐ客」は実店舗に来店される、あるいは電話で問い合わせをする確率が高いわけですから、それ以外のお客さまは「じっくり客」、「そのうち客」とみるのが正解ではないでしょうか。

「ひやかし客」とみなされるお客さまも、不動産に何らかの関心を持っているわけですから、大切なお客さまです。

実店舗に来店される、あるいは電話で問い合わせをいただく「今すぐ客」以外のお客さまの方が、実は数としては圧倒的に多いのです。

物件購入の緊急度は低いが、数としては絶対多数を占める「今すぐ客」以外のお客さまにしっかりと対応するのがロングテール営業の基本です。

当社は、不動産仲介部門を開設して5年余りですが、6百名余りのお客さまから、会員登録・希望条件登録をいただいております。

6百余名のお客さまとロングターム・長期スパンでのお付き合いをすることが、ネット不動産が最も得意とするロングテール営業の基本ではないでしょうか。

次に、ネット不動産の差別化について考えてみます。

差別化の本質とは何か、インターネットを活用したネット不動産にとっての差別化とは何かをつきつめて考えると、それは(1)ネット店舗・ホームページの差別化、(2)メール営業の差別化、(3)リアル店舗・実店舗の差別化であることが分かります。

それは、それぞれの段階・過程で、お客さまの満足をどれだけ獲得できるかという「競争社会」での差別化ということになります。

(1)の段階での差別化は、ホームページを訪れたお客さまが、物件情報の質と量で満足できるか否か、つまり、お客さまが相場感を養い、価格を含めた判断の間違いを犯さないためにどれだけ役に立てるかがポイントです。

ホームページへアクセスするお客さまは、会社情報と信頼するに値する会社か否かの情報を探しています。ブログやスタッフ紹介、お客さまの声は、安心感・信頼感のスタートラインだといえます。

ホームページを初めて訪れたお客さまに、繰り返し訪ねるリピーターになってもらうことがネット不動産の最初の関門です。

くどいようですが、お客さまは物件情報と会社情報の量と質を求めてホームページを訪ねてくるのです。お客さまの求めていることに、こたえることのできるホームページにすることだけが、リピーターになってもらえる唯一の手法であり、電話やメールでの問い合わせ、会員登録・来店に結びつく道なのです。

ポータルサイトでの集客では、物件情報は提供できても、会社情報を十分に伝えることはできません。独自の自社ホームページの重要性は、たとえ、ポータルサイトの無料化が進んだとしても、何ら変わらないのではないでしょうか。

(2)メール営業の重要性、差別化、ノウハウについては章を改めて論ずることにします。

(3)リアル店舗・実店舗での差別化は「老舗」といわれる仲介業者にとっては得意な分野でしょうし、新興勢力であるのネット不動産にとっては汗を流し、チエを絞って考え出さなければならない課題です。

言うまでもないことですが、お客さまの最終目的は満足度の高い物件の取得であり、賃貸の場合は「入居」です。

仲介業者としてのネット不動産が果たすべき役割は、ネット店舗とリアル店舗の共同作業でお客さまが満足する物件を取得することをお手伝いするにつきるわけです。

そのためには、本当の意味での接客マナーを身に付け、物件調査の能力を高め、安心・安全取引のサポートができる社内体制・社風を確立することが求められるわけです。

お客さまに選ばれるサイト・お客さまのニーズに合ったサイトとは、つきつめて言えば、手数料の値引競争レベルのことではなく、「お役立ち競争」・サービスの価値競争ではないでしょうか。

差別化の本質・目的の一つは、競争に勝つということにあります。

業界レベル・会社レベルで言えば、競争には二つの側面があります。

業界レベルでは他社との競争が主要な側面です。会社レベルでは、他社との競争という面も大切ですが、自社自身との競争、つまり、昨日の自社よりは、今日の自社は一歩も二歩も進んでいることの方がより重要です。

他社との競争は、勝ったり負けたりがありますが、自分との競争、昨日の自社との競争は、努力と工夫さえ続ければ常に勝ち続けることができます。

競争・差別化の原則論はこのぐらいにして、他社との競争・差別化、他社との「価値の差別化」について具体論を考察します。

1.業界や他社では「常識」であるが、思いきり減らせるもの止めるべきもの、お客さまにとって不要なものは何か?

○チラシ広告
○物件情報の囲い込み
○しつこい追客営業
○電話営業
○訪問営業
○(希望しない)現地案内

2.大胆に増やすべきもの、お客さまにとって必要なものは何か?

○物件情報の質と量
○会社情報の質と量
○安心・安全取引のための情報と知識
○分からないこと、困った時の相談相手
○物件についてのマイナス情報の開示
○物件や仲介業者に対する不安感・不信感の除去

3.他社が提供していないが、お客さまにとって必要なもので、自社が提供できるもの、付け加えることができるものは何か?

○お客さまが当社のサービスに満足できなかった場合の、仲介手数料の全額返済の約束
○物件や周辺環境についてのマイナス情報の積極開示

ここまでの差別化・競争力強化に踏み切れば、そんな時代でも、どんな地域でも、どんなに不況の波が大きくても、必ず勝ち残れるのではないでしょうか。



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