ネット不動産フロンティアノート



ネット不動産とは・・ No.7-4

不動産仲介業界全体の位置付けとしては、ネット不動産は新規事業・ベンチャー企業という側面と既存事業・既存業界の影響下にあるという二つの側面をもっています。

ベンチャー企業という側面から見れば、不動産仲介業における新たなビジネスモデルの「斥候隊」・「先遣隊」としての役割が求められています。

地上戦・陸上部隊における「斥候隊」の任務は、隠密行動で敵情を探ることであり、「先遣隊」としての任務は本隊受け入れのための「橋頭保」の確保です。

しかし、今は地上戦の時代ではなく、インターネット戦・情報戦の時代です。情報戦の時代の「敵」とは何でしょうか?「敵情」とは何でしょうか?

同業他社を「敵」と想定し、隠密行動を是認する経営者は、それだけで失格です。

情報戦・情報化の時代の探るべき「敵情」とは、まだはっきりとは見えない未来、これからの世の中や業界がどう変化するかという、「変化」そのものなのです。

未来を予測し、変化を先取りすることこそが、情報化時代の「戦い」であり「主戦場」なのです。

この戦場で勝者となるには、問題意識・仮説を発信し続け、感度の良い受信アンテナで変化の予兆をキャッチすることであり、試行錯誤を怖れずに前に進むことです。

同時に、自らの立ち位置を常に確かめ、兵力・兵站・地形の確認を怠らないことです。

こんな意味も含めて、ネット不動産の現状・可能性と限界について分析してみます。

世界経済は不透明感を強めています。日本経済は20年ものあいだ、デフレの坂を下り続けています。長期不況といってもいいでしょう。

事業・産業の歴史は、大きな不況期にこそ、新規「機会開発」や新しい事業の開発が盛んになることを教えています。今のままでは、十分に売れないし、生き残れないと多くの経営者が思うからです。

不動産仲介業界も新規開業、新規参入が盛んです。もともと、小資本での開業が可能な業種であることに加えて、インターネットを活用すれば「何とかなる」と思う人が多いからでしょう。

新規開業組は総てネット不動産を目ざしているといえます。ホームページを開設して、主な集客手法をインターネット・ホームページに依存しているという意味でのネット不動産です。

既存の仲介業者の「ネット化」も進みました。「看板レベルのホームページ」も含めれば、4割近い業者が何らかの型でネット化に取り組んでいるようです。

長引く不況を反映してでしょうか、手数料のダンピング競争も一部地域では激化しています。

実績もない、信用もない、情報発信力もない、技術もない、将来の見とおしもない、ないないづくしの仲介業者が最後にたどり着くというか、最初に飛びつく手法・手段が手数料のダンピングだと言い切っては酷でしょうか。

サービス業の競争は、サービスの質の面での競争、つまり、「価値競争」であって、価格競争ではないという、サービス業の原点を忘れたビジネスモデルに見えるのは業界側に偏った見方でしょうか。

業界のネット化が進む一方で、情報の囲い込みの傾向も強まっています。もともと、「元付優位の世界」「売り客1人は、買い客10人」といわれていた業界であり、元付になれば両手数料がねらえるわけですから、物件情報をなるべく外に出さずに、自社で買い客を見つけたいという「動機」は分からないわけではありません。

しかし、今は情報化の時代なのです。お客さまも、このような業界事情についても、はっきりと分かる時代になったのです。自社の利益・両手数料目的の情報の囲い込みが、お客さま目線にどう映るでしょうか。

さらにいえば、情報の囲い込みを行っている業者のホームページには、せいぜい20件程度の物件情報しか載っていません。仲間意識の強い同業者の「囲い込み情報」を載せても30件程度でしょう。

物件の少ないホームページを訪れたお客さまは満足するでしょうか。「掘り出し物」があるかもしれないと考え、再度訪ねる人もいないとは言えません。

しかし、はっきり言えば、情報の囲い込み路線は、「顧客満足」というサービス業の原点を見失った、目先の利益、自社利益だけを追求するビジネスモデルであり、未来があるとは思えません。

以上が、業界レベルのネット不動産の現状と問題点ですが、個別企業レベルでも、ネット不動産は多くの課題をかかえています。

第一は発信力・情報発信力の不足です。物件情報の発信については、質・量ともに、かなりのレベルに達しているサイトも少なくありません。

問題は、会社情報、業界情報、についての情報発信力の不足です。

お客さまは、住宅購入に際して三つの不安・不信をかかえています。一生一度の高額商品購入の不安、所得減少時代のローン返済への不安、仲介業者への不信です。

この不安・不信をホームページ上の情報発信によって解消しなければなりません。発信力・文章表現力・文章伝達力が問われるわけです。ことばを制するものが、ネットを制すると言われているゆえんです。

加えて、ローン借入、返済に伴う資金計画・返済計画をお客さまと一緒になって考え、不安を取り除くコンサルティング能力が求められています。

ネット不動産の草分け的存在である(株)オンライン不動産が、まず、お客さまに「マイページ登録」をしてもらい、じっくりと時間をかけて、専門のコンサルティングチーム、サポートチームがお客さまの不安解消を目ざすというビジネスモデルを採用しています。

同社はインターネット・メールの利点を最大限に活用する「ロングテール戦略」を採用しているようです。今すぐ客でないお客さま、不安や悩みを抱えているお客さまと、「マイページ」という窓口を通して、メールでのコンサルティングにより、お客さまが一歩ずつ住宅取得に向かって進むことのお手伝いをするというビジネスモデルです。

ここに、メール営業・農耕型営業・顧客育成型営業の一つの「成功ノウハウ」があるとみました。

オンライン不動産社の場合、商圏は首都圏4都県と広く、物件数も2万6千件を超える情報量です。データベースも独自に開発し、技術スタッフ20数名を含む80数名の社員を擁し、3店舗を持つ大部隊です。零細企業の多いネット不動産にとって、直接的なお手本にはなりませんが、学ぶべき点は多くあります。

弱小・零細なネット不動産にとって、最大の問題点は、技術対応力のあるスタッフの確保であることが、明確になってきました。

どんなに完成度の高いソフトを導入しても、それを使いこなすのは自社のスタッフです。ソフト開発会社のサポートを受けたとしても、最終的には自社の技術スタッフの力量に左右されます。

ましてや、SEOを本気で実行するには、かなりレベルの高い技術スタッフが必要です。

ソフト開発会社は、誰でもすぐに使える使い勝手の良いソフトです!!とは言いますが、額面通りには受けとれません。

ネット不動産が本格的な普及期に入り、ネット不動産どうしの競争が激化するにつれて、ネット不動産に特化したSEOコンサルの需要が増大するとともに、自社独自のSEOが実行できるレベルの技術対応力のある「スタッフ養成セミナー」の必要性が増すのではないでしょうか。

インターネット集客、ネット店舗とメール営業が軌道に乗るにつれて、ベテラン営業マンがその「営業力」を発揮する場が失われていることが顕在化しました。

チラシ広告全盛時代、チラシ広告万能時代には、チラシを見て問い合わせをしてきたお客さま、チラシを見て来店されたお客さまを、いかにして「短時間で説得」するかが、営業マンの役割であり能力でした。

メール営業に力点が移りつつある現在、「営業マン」に求められる能力は、この人に会いたい、この物件をこの人に案内してもらいたいという発信力・文章力へと変わりました。

ネット店舗・メール営業にマニュアル・お手本はまだありません。自分の頭で考え、他社の良いところを取り入れながら、試行錯誤を繰り返す以外に方法はありません。

リアル店舗・実店舗の接客応接のあり方も変わりました。従来の「ベテラン営業マン」の営業力は無用となったのです。はっきり言えば、有害となったのです。

今、ネット不動産の営業スタッフに求められている能力は、住宅という高額商品を扱う専門性・専門知識と、海千山千といわれる業界にあって、安心取引・安全取引をしっかりとサポートする経験とノウハウなのではないでしょうか。



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