ネット不動産フロンティアノート



ネット不動産とは・・ No.7-1

インターネットは、もしかすると、人類が創り出した最大の「発明」ではないかと言われ始めてから20年近くになります。

人々は、その渦中にあるときは、渦の大きさや自己の立ち位置を見失いがちなものなのでしょうか。ネットと非常に相性が良いといわれる仲介業に従事していても、ややもすれば、その方向性を見失ったり、状況認識や問題点の把握が不十分になりがちです。

ネット革命の新たなステージとしての「ブロードバンド革命」は、世の中に大きな変化をもたらしつつありますが、その最大のものは、「人々の情報に対する意識」を変えたことではないでしょうか。

「常時接続」と「使い放題」のサービスが日常化し、情報に対する人々の意識を根本から変えました。「通信料金」の劇的な低下が、「人々の意識」の質的な変化をもたらしたと言えます。

本格的な「顧客中心の市場」が幕を開けたのです。数多くの消費者や生活者の「情報」に対する意識が根本から変わったとき、いよいよ、本格的な「顧客中心のマーケット」が幕を開け、「進化」や「変化」を始めたということです。

不動産仲介業のマーケットも例外ではありません。ネットと仲介業は、もともと相性が良いわけですから、仲介業界はマーケットの変化を先回りして待ち受けるぐらいの積極的な姿勢が求められているのではないでしょうか。

「市場」の本質は競争であり、「戦場」ととらえることもできます。この「戦場」で戦争に勝つ、最悪の場合でも戦争に負けない、生き残ることこそが、「戦略の本質」であると最新の戦略論は教えています。

さらに、「主戦場」がどこに移行するのかを読み切って、その主戦場に先回りして戦略的な「橋頭堡」を築く。そして、「主戦場」が移行してくるのを待つことの重要性を最新のマーケティング論は説いています。

さらには、いかにして「主戦場」の移行を早めるかも求められています。個々の会社や個人では、「主戦場」の移行を早める力は弱くとも、ノウハウを発信し、失敗や成功の経験を発信し続けることで進路を照らすことぐらいはできそうです。

「ネット不動産フロンティアノート」もそんな思いで書き進めています。方向は明らかです。進路もかなり見えてきました。突き進む以外に道は残されていません。情報交換というネットワークをオープンにし、情報戦での共同戦線・統一戦線の力で旧い体質の業界を変えていくことこそが、今、時代が求めていることなのではないでしょうか。

インターネットを含むIT(Information Technology)技術の発展は、不動産マーケットそのものを情報の面から変えました。集客手法はホームページ・ネット店舗に変わりました。商品情報としての「物件情報」も量・質・速さの面で大変化をとげつつあります。

この変化の根底にあるのは、お客さまの変化、人々の情報に対する姿勢の変化、心の変化であるととらえることができない人は、いつの日か、マーケットから置き去りにされるでしょう。

誤解を恐れずに言えば、ネット革命以前の不動産マーケットは、売り主・貸し主・仲介業者本位のいわば「企業中心市場」でした。そのマーケットが「顧客中心市場」「消費者主権市場」に変わったのです。

マーケットを変えた原動力は何だったのでしょうか?

第一には、不動産マーケットそのものが、売り手市場・貸し手市場から買い手市場・借り手市場に、需給関係が根底から変わったことです。

第二には、お客さまがインターネット・ホームページ・ネット店舗を通して、物件情報を無料・大量・リアルタイムで入手できるという情報環境・通信環境の変化をあげることができます。

第三の原因、そして最大の原因は、IT革命・ネット革命が顧客本位のビジネスモデルを可能にしたということです。

顧客本位のビジネスモデル、お客さまが求めているすべての物件情報を集めて提供するという仲介サービスは、ネット革命以前にはコストがかかり過ぎて実現できませんでした。

インターネット・ホームページ・Eメールというネット革命と、物件情報データベース・見込客情報データベース・両者のマッチングというIT・パソコン最も得意とする分野を最大限に活用することで、売買仲介・賃貸仲介というマーケットを、顧客中心市場に変える技術的条件、コスト面での条件が整備されたのです。

IT技術の発展は、不動産仲介業の世界に大きな変化をもたらしました。売り手・買い手の行動の変化だけでなく、仲介業務のあり方そのものが大きく変化しました。ここでは、売買仲介を中心としてIT化がもたらした変化について見てみます。

まず売り手の変化です。従来は、物件を売却しようとするお客さまは、まず、身近な仲介業者を訪ねました。身近に仲介業者がいなければ、大手仲介業者を訪ねるというのが典型的なパターンでした。

知らない中小の仲介業者を訪ねて相談するには、何となく不安だし、街の仲介業者は情報が少ないので、正確な売却可能価格を提示できないのではないかと思われていたのです。

ネットの普及とホームページでの物件情報の公開は、大手と中小のこの格差を消滅させました。物件の売り主は、各社のホームページを訪れ、自己の「売却戦略」と一致する仲介業者を自由に選べる時代になったのです。

次に買い手の行動の変化です。不動産を探し始めたお客さまの「探索行動」は、相場感の形成→満足する物件の選定→適切な価格の判断へと進むとされています。

従来は、そのためには、新聞折込チラシや物件情報誌によく目を通し、気になる物件があれば店舗を訪ねるしか方法はありませんでした。

今は、物件購入を検討し始めたお客さまの80%強がインターネットを利用する時代になったのです。ネットで各社のホームページを訪ねれば、物件情報だけでなく、それぞれの会社の特徴や営業姿勢、経営者や営業マンの人物像や考え方という会社情報も事前に入手可能となったのです。

IT技術の発展は仲介業務の本質、マッチング行動を根本から変えつつあります。

従来は、営業マンの頭の中で、多くても50件程度の売り物件情報と5〜10人程度の「見込客情報」をマッチングさせることで売買仲介を行っていたというのが実態でした。今でも、ベテラン営業マンにはこのタイプが少なくないようです。

IT技術・パソコンのマッチングソフトは、この仲介業務の本質的な部分、仲介業の核心を根本から変えつつあります。

マッチングシステム・ソフトを活用することで、1,000件の売り物件情報と500人の物件購入予定者の「希望条件」を瞬時に照合し、表示・送信することが可能となったのです。

手作業や営業マンの頭の中での「操作」では絶対にできなかったことがパソコン上で簡単にできるようになったのです。

21世紀に入ってからのネット不動産の進化を振り返る意味も含めて、7年前の(株)不動産データ&ジャーナル社のネット不動産の変化予測をご紹介します。

7年前の2003年に(株)FDJの浅見社長が開催したセミナーの案内文が手許にあります。

「『業界総合サイト』が市場に与える影響と対応戦略・モデル転換を読む」という講義では、

○ 巨大な国民ブランドに成長 … 比較・選択できる“総合市場”が出現。
○ 同一市場での競争が激化 … 情報提供はwebで、サービスは店舗で。
○ 大手有利で中小は不利か … 中小不利を覆す戦略とは。
○ 物元主義VSダウンロード … 「物件データベース構築」が切り札に。

というテーマが取り上げられていました。

「インターネットで不動産取引を始めたユーザーの特性」という講義もあり、

○ パワー消費者とは … 取引支援をユーザーが登場。
○ 消費者大変化の再確認を … 国交省・流通業務研の提起内容を読む。
○ 取引支援を行うweb店舗 … 求められている機能とは何か。
○ どうなる集客・サイト広告 … チラシに代わるweb広告にも新潮流!

というテーマが論じられていました。

これらのテーマ・論点は、現在のネット不動産・ネット店舗の解明すべき課題を予見し、先駆的に取り上げたものであり、FDJ社の先見性、フロンティアスピリッツを示すものです。

この「ネット不動産とは」の章では、以下のテーマについて5回程度に分けて記す予定です。

(1) ネットが不動産仲介業を変えた(今回の分です)
(2) ネット不動産の存立基盤の変化
(3) ネット店舗とリアル店舗は車の両輪
(4) ネット不動産の現状と問題点
(5) ネット賃貸とネット売買の違い 



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