ネット不動産フロンティアノート



不動産マーケットの特徴・・ No.6-1

ネット不動産フロンティアノートも27回目です。当社がネット不動産に全面的に切り替えて22ヶ月経過しました。不動産事業部を開設し、売買仲介業務を始めてからは5年になります。

ここで、会社の設立から現在に至る経過を簡単に振り返りながら、現在の立ち位置を皆さまにお示お示しします。チラシ集客からネット集客への転換と現在の到達点が主な内容です。

不動産鑑定士の二次試験合格後、5年余り勤めていた(財)日本不動産研究所を退職し、30万都市福島で不動産鑑定士として独立開業したのは、東北新幹線の開業と同時期、1982年6月でした。折からのリゾート開発ブームや公共事業の大盤振る舞いの波に乗り業績は順調でした。その後、バブル経済の崩壊や大型公共事業の半減など荒波に翻弄されながらも28年余りを何とか乗り切って現在に至っています。

10年程前から不動産鑑定業を主軸としながらも関連分野への進出を図るべく、戦略を練ってきました。そんな折りに「成功する不動産業の経営戦略」という本に出会いました。福岡のビス経営アカデミーの本村靖夫会長が書かれた著書です。地域を限定し、地域内の全物件情報を収集してデータベース化する。地域内の全世帯に200件以上の物件情報を載せた折込チラシを毎月配布し、問い合わせ客の希望条件をデータベース化して、物件データベースとのマッチングにより成約を目ざすという方式です。「ハイパーリサーチ」というソフトを買い、印刷機も購入して、宅建業の登録も済ませました。

ちょうどその頃、「街の不動産屋さん“待ち”の経営から抜け出す」という金丸信一氏の著書にも出会いました。05年の春です。JALの本社ビルで開催されたセミナーにも参加し、「本村方式」との違いやインターネット不動産の特徴や将来性についても自分なりに考え、本気で勉強させてもらいました。「本村方式」も金丸氏の説く@dream方式も地域内の多くの物件を獲得してデータベース化し、見込客(地域、価格、種別などの希望条件登録客)を獲得してこれもデータベース化し、相互にマッチングすることにより物件情報、詳細資料を発信・送付するという基本的な設計思想では共通している点が多いことがよく理解できました。

両方式の根本的な違いは、情報発信を印刷機、チラシ、郵送という従来のアナログ式で行うか、インターネット、ホームページ、メールというIT技術を基本とするデジタル方式で行うかの違いであることも分かりました。時代もお客さまもネット時代、ネット世代に急速に変化していることは感じつつも、ネットとホームページだけに特化した売買仲介業の成功事例は少数であり、まず、従来の紙媒体+マッチングシステムである「本村方式」でスタートすることにしました。

自分なりに独自のホームページ「地価・インフレ情報発信館」を’98年に立ち上げ、7年余りで25万件強のアクセスや反響を取っていたので、インターネットやホームページの威力や将来性については分かっていたつもりですが、紙媒体中心の「本村方式」でスタートしたわけです。売買仲介に絞って、「本村方式」で全力をあげ本気で取りくみました。毎月94,000枚のチラシを折込配布し、40人近い見込客を獲得して毎月2〜3件の成約を得ることができました。しかし、何故か、見込客の数は順調に増えるのに対し成約客はあまり増えませんでした。半年が経ち、一年経過するうちにチラシの反響率が目に見えて落ちてきました。当初は1万枚のチラシに対して4人程度(0.04%)であった問い合わせが、2年後にはチラシ1万枚に1人(0.01%)と減ってしまいました。それに反比例するように独自開発のホームページ経由の見込客(メール申込)が増加しました。

当社のスタッフが独自にホームページを開設した07年の10月には、メールでの希望条件登録がチラシからの問い合わせ、希望条件登録を上回るようになりました。人口30万人の地方都市福島でもネットの時代に変わったこと、住宅購入層はネット世代であることを実践の中で知りました。決して安くはない授業料を3年間支払って得ることのできた「大きな成果」でした。

08年3月にネット不動産、ホームページ集客に集中・特化することを内部のたび重なる検討の後に決めました。各社のソフトの特色、使い勝手も十分に検討した結果、「売買」「賃貸」両部門同時に@dreamのソフトを導入することにしました。

不動産鑑定事務所というのは、年度末の3月は超繁忙期です。その反動で4月、5月は超閑散期というのが例年のパターンです。4月になると同時に鑑定部門のスタッフも総動員して、売買物件の写真撮影と、700件近い物件情報詳細の入力、500人程の既存の見込客の新しいデータベースへの移行に全社員あげて取り組みました。パソコン操作に慣れたスタッフが3人程いましたので、@dreamへの切り替え、ネット不動産への全面移行は比較的スムーズにいったのではないかと考えています。

本村方式をベースにしながらも、ホームページとインターネット活用に軸足を移しつつあったので、@dreamソフトの手法や利点についての理解は早い段階でできたと考えています。ただ、実務面での写真撮りや物件詳細の入力は「力仕事」であり、スタッフは大変でした。

08年6月4日、全面リニューアルしたホームページがスタートしました。YahooやGoogleのキーワード広告も旧ホームページから移行し、旧ホームページにも新ホームページへの案内・誘導文言を目立つ位置に大きく入れて残しました。

08年6月に新しいホームページを立ち上げて、ネット不動産としてスタートして10年3月の現在まで22ヶ月が経過しました。22ヶ月間のアクセス数、希望条件登録数、問い合わせ数、成約数は以下のとおりです。

08年アクセス数希望条件登録数登録比率成約数(売買)
6月2,380件10件0.42%6件
7月2,615件14件0.53%4件
8月2,777件16件0.57%3件
9月3,420件23件0.67%4件
10月3,844件20件0.52%5件
11月4,733件18件0.38%5件
12月4,088件15件0.37%4件

09年1月より賃貸部門にも力を入れ、Yahoo、Googleの広告も賃貸部門だけに絞りました。なお、09年からは売買の希望条件登録だけでなく、賃貸も含めた、条件登録、電話・FAXによる問い合わせ、来店等の反響率(コンバージョン率)として集計した数字です。

09年アクセス数問い合わせ数反響率成約数(売買・賃貸)
1月4,117件55件1.33%12件
2月4,362件57件1.31%23件
3月4,628件72件1.55%31件
4月4,782件53件1.11%11件
5月4,897件31件1.26%5件
6月4,672件42件1.33%8件
7月4,386件58件1.32%7件
8月4,475件50件1.11%8件
9月4,912件51件1.03%6件
10月4,948件81件1.77%7件
11月4,571件54件1.18%6件
12月4,158件75件1.80%5件

10年アクセス数問い合わせ数反響率成約数(売買・賃貸)
1月5,817件93件1.60%4件
2月6,046件160件2.65%11件
3月6,640件210件3.16%24件

なお、チラシ広告の市内全世帯配布は08年6月から完全に中止し、特定物件の周辺地域へのポスティングも、手応えがないので1年前から止めています。

09年3月7日現在で売買物件598件、賃貸物件831件、売買物件の希望条件登録者が約620人です。この620人のうち、約330人は@dream導入前の見込客で、大半はメールではなく、従来どおりの電話・FAX・郵送と紙媒体での情報発信で対応しています。これらのお客さまはわが社の「宝」であり、大切にしながら、@dreamの最大の特徴、長所であるメールでのやりとり中心へ移行できるようにすることが、今後の課題です。

もう一つの課題としては、賃貸部門のホームページを独立させることです。

ネット不動産への移行の効果としては以下の点があげられます。

(1)完成度と自由度の高いソフトを活用すれば、近い将来、必ず地域一番店になれるという確信のようなものが社内スタッフ全員で持てたこと。

(2)その結果として、鑑定部門のスタッフも含めて創意工夫を発揮してホームページの改善提案が毎日のように出され、それをすぐにホームページに反映させて、お客さまの受けとめ方や問い合わせの変化を楽しむという大変良い雰囲気が社内にできたこと。

(3)ホームページをご覧になったお客さまから、売物件の相談、借地の相談、相続関連の相談などが、福島県内に限らず関東圏からも寄せられるようになったこと。などです。

以上、現在の到達点、今後の目標については記しましたが、これからの最大の課題は、早い時期に物件数、見込客数、成約数で地域一番店になることです。そのためには、全国の先輩各位の知恵と力をお借りし、ノウハウと経験の交流を通して実績を積み上げることにつきると思っています。 世界的な金融危機という不動産業界にとっても大逆風が吹くなかで、不動産の仲介業も厳しい時代を迎えています。しかし、どんなに嵐が厳しくとも、お客さまの一番身近にいる会社、お客さまの「御用達」に徹する会社は生き残れると確信しています。 お客さまの目線ですべてを考え実行する。お客さまに選んでもらえる不動産会社になる。ネット不動産の目ざすべき新世紀・新世界はそこにあるということが、少しずつ見えてきたところです。

この、「不動産マーケットの特徴」の章では、以下のテーマについて10回程度に分けて記す予定です。

(1)チラシ集客からネット集客へ(今回の分です)

(2)広告媒体の変化

(3)業界の現状と問題点

(4)ネット時代のお客さま

(5)中古住宅市場

(6)ネットオークション

(7)ネット不動産のランチェスター戦略



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