ネット不動産フロンティアノート



不動産仲介業の本質・特徴・・・ No.3-16

この章を終えるにあたり、少し難しい問題を考えてみました。不動産仲介業の哲学と科学というテーマです。

哲学とは何ぞや?と正面から問われ、それを一言で語るのはやっかいなことです。しかし、それを科学との対照で言えば分かりやすくなります。

科学は、実験できること、つまり実証できること、または測定できることを対象にし、その法則を探すことです。

哲学は、実験できないこと、あるいは実証できないこと、測定できないことを対象に、前提と論理で組み立て、追求することだと云われています。哲学が対象とする意識や観念・理念・倫理は、実験できないからです。

なぜ、こんなことを論ずるかといえば、経営理念、不動産仲介業の経営理念・経営倫理について、いつも頭の中にあるからです。この業界で、今一番足りないもの、世の中から求められているものが、経営理念、経営倫理だと思うからです。

経営理念とは、別な言葉でいえば、広い意味での「経営哲学」ということでしょうか。

不動産仲介業者に、誰も経営理念や経営哲学・倫理など求めていない。それは八百屋に行って、魚を求めるようなものだと言ってしまっては、それまでです。

世間からはそう思われ、ほとんど期待されていないとしても、企業が、仲介業者が世の中に存続し、仕事を続けていくためには、経営理念・企業倫理は絶対に必要なことではないでしょうか。

むしろ、世の中から不信の目で見られ、「存在意義」が見えにくくなっているからこそ、経営理念・企業倫理を高く掲げるべき時だといえるのではないでしょうか。

経営理念とは、

1.会社は何のために存在しているのか。
2.会社の目標・使命は何か。
3.会社はその目標・使命を達成するためどんなやり方で行くのか。

といったことです。

経営理念といえるほどの立派なものではありませんが、わが社の場合、不動産事業部開設時に、 にあたるものとして、三つの目標と使命を定めました。

わが社の目標と使命
○ 地域で信頼一番店を目指すこと。
○ 数多くの物件情報を提供し、物件選びのお手伝いをすること。
○ お客さまの取引の安全をサポートし、保障すること。

については、明文化はしていませんが、不動産仲介業というサービスを通して、「顧客満足」を提供すること。お客さま本位のビジネスモデルを確立し、普及させることで、不透明な、ややもすれば信頼感に欠ける不動産仲介業に新しい風を吹き込みたいということです。

については、インターネット・ホームページを全面活用するネット不動産という新しい手法を採用し、物件情報と専門知識の提供により、お客さまの住宅取得のお手伝いをすることです。

以上が、不動産仲介業の経営理念・経営哲学というレンズを通して見た、(わが社の)経営理念です。

不動産仲介業の「哲学」という主題からは、少し外れましたが、仲介業者に求められる倫理・「あるべき姿」という意味で少しはご理解いただけたでしょうか。

次に、不動産仲介業の「科学」についてです。「経営科学=経営学」の立場から、不動産仲介業、特にネット不動産を分析してみる試みです。

ホームページの運営を通して、物件情報と会社情報を提供し、お客さまの信頼と共感をいかに獲得できるかという実験・実証・測定ができるという意味では「ネット不動産の経営科学」といえます。

 科学とは、実験できること、実証できること、測定できることを対象にし、その法則を探すことだとされています。

ホームページ(ネット店舗)を通してお客さまとまず出会い、メールを通してお客さまとの理解を深めていく仲介業の新しい試みです。

ホームページ・ネット店舗から物件情報と会社情報を発信し、地域内で不動産を探しているお客さまの「求めているもの」「必要としているもの」を提供することがその第一歩です。

しかも、お客さまの心に響き、心に届く言葉で「情報発信」・「情報配信」をしなければ、空振り、空廻りに終わってしまいます。

このネット不動産にとって一番大切な、ホームページをいかに運営するかということは、実は、かなり難しい問題なのです。

ネット不動産の経営者や担当者は、日夜、このことで頭を悩ませ、ない智恵を絞って考え、試行錯誤を繰り返しているわけです。

幸い、ホームページは、自分の手で改良を加え、修正・追加・削除が自由にできるようになっています。(自社で簡単に修正・追加・削除ができないホームページはホームページ制作会社のカモであり、基本的な設計思想に問題があると考えるべきです)

つまり、自分の頭で考え、工夫したことをホームページ上で実験できるのです。しかも、その結果を翌日、1週間後、1ヶ月後、1年後と、いつでも測定し、知ることができるのです。

ネット店舗の「商品」は物件情報です。この商品の展示方法を替えてみたり、特選品コーナーを設けてみたり、商品を入れ替えたりは日常茶飯事です。

店舗の特徴・独自性を強調するために、会社の理念や姿勢、ブログやコラム、日記・ノート、何でも載せることができます。

つまり、経営科学が説く基本サイクル、Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(新たな行動)、PDCAが、日常的に可能となったのです。

これは、すばらしいことではないでしょうか。インターネット・ホームページと不動産仲介業は、非常に相性の良い関係だと、常々考えていましたが、ホームページの運営を通して、不動産仲介業を「科学」することができるようになったのです。

でも、ネット不動産は、まだまだ「揺籃期」です。せいぜい5年、早くから手がけた会社でも10年程度の歴史です。

全国の同業者から学び、お客さまから学び、自分の頭で考え抜いて、さらなる地平を切り拓いていくことが求められているのだと、つくづく思います。

以上の文章を「本音のコラム」(ホームページに毎週連載している私のコラム)に載せたところ、岐阜市に住むKさんからメールをいただきました。

以下にその要旨をご紹介いたします。

高橋様が記された「顧客の信頼と共感をいかに獲得するかという実験、実証、測定できるという意味では科学と言えます」との内容に共感を覚えます。

同じ製品を扱い、同じ値段を打ち出しても売れないお店と販売を伸ばしている お店があります。そこには販売戦略を「科学」と捉えることができるかどうかにかかっているようです。何か法則があるのでしょうか?朝8時からお店を開き、夕方は9時過ぎまで営業しても販売金額が伸びないお店(A)。土日休業し、朝9時から5時までしか営業しないが前者の倍の売り上げを達成している同地区のお店(B)など。同じ会社規模でも何故こういう現象が起きるか分析したことがあります。

そこには高橋様のわが社の目標と使命に「法則」が言い尽くされています。

一番店を目指すための方針を全社員に徹底させているか、製品情報をこまめに提供しているか、得意先が困った時に親身に相談に乗っているかどうかなどがA、B店の大きな相違点でした。

顧客がBを選択する大きな理由は下記の通りでした。扱っていない製品でも問い合わせすれば丁寧に答えてくれどこに行けば入手できるか価格情報まで懇切丁寧に教えてくれた。誠実な担当員が多く、専属の担当がいなくても直ぐに待たせず替わりの人間が対応してくれた。クレ−ムが解決した時、わが事のように喜んでくれた笑顔を思い出すので等々。応対する人間性の違いが大きく販売に影響を与えていたのです。B店の社員教育は顧客中心に重点を置いたものでした。困っている時は手を差し伸べ解決すればわが事のように喜ぶ!なかなかできそうでできないものです。

書いた本人よりも深く考え、分析していただきました。大いに励みになり、参考になりました。ありがとうございます。



ページ上部へ戻る


フロンティアへ

 テーマ 一覧

・記事を追加した時にお知らせメールを希望する方はこちらへメールをお送りください。Takakanへメール
・ご意見・ご感想もお待ちしております。
・当ページの文章の引用・転載はご自由にどうぞ。

関連ページ