ネット不動産フロンティアノート



不動産仲介業の本質・特徴・・・ No.3-8

あるビジネス・業界について、その現状や問題点、将来性について、掘り下げて考える場合に必要なことは二つあります。

一つは、そのビジネス・業界の歴史を見ることです。
二つ目は、存立基盤(社会的・経済的存在意義)と存立基盤そのものの変化を掘り下げて分析することです。

わが国の不動産仲介業者は、江戸時代まで遡れるようです。奉公人などを周旋する「口入れ屋」が、副業的に「長屋の仲介」を行っていたことが、不動産仲介業の始まりだったとされています。

昭和27年に宅建業法が制定され、不動産仲介業が免許制になって58年になります。不動産の不動性・個別性という「宿命的属性」を反映したローカル産業・地場産業としての仲介業は、絶対量としての住宅不足を追い風として、「殿様商売」が可能だったといわれています。

「売り」「買い」、「貸し」「借り」の断片的・散発的な情報を仲立ちし、成約させることが仲介業者に求められた役割でした。しかも、供給不足という売り手市場にあっては、地域内の物件情報の独占こそが、競争優位の根源であり、存立基盤そのものだったといえます。

では、ネット社会となった現在の不動産仲介業の存立基盤はどこにあるのでしょうか。

不動産仲介業の存立基盤を考えるに際して、このビジネスがなかったとしたら世の中がどう困るか、誰が困るかという切り口で考えるのも一つの手法です。

今の時代、不動産仲介業がなかったら誰が困るのでしょうか。

まず、売り主や貸し主・大家が困ります。「売り家と唐様で書く三代目」ではいかにも時代遅れです。ホームページで自らが物件情報を発信するにしても、手間ヒマかかることに加えて、効率も悪くお客さまが見てくれる確率は極端に低いものになります。売り主が宅建業免許を必要とするケースも生じます。

売り主や買い主が、共に、生涯一度の当事者、つまり、まったくの初心者だった場合、取引にあたっては不安だらけで、おそらく、専門家に助力、助言を求めることになるでしょう。

賃貸の場合は、経験豊富(?)な貸し主側との経験格差・情報格差で、借りる側は困ってしまうことになりそうです。

プロの仲介業者がいなければ、不動産取引をめぐってはトラブルが続発し、スムーズな不動産流通は望めなくなることは明らかです。

ましてや、人の移動・交流が広域化した現代社会においては、物件情報の広域化・ネットワーク化は必要不可欠な要素です。

ざっと挙げただけでも、これだけ世の中や関係者が困ってしまうわけです。この裏返しが、不動産仲介業が必要な理由であり、存立基盤ということです。

これをまとめれば、次のようなことになります。

○ 安心・安全取引のサポート機能
○住宅や土地の品質(環境面も含む)・性能の検査・保障機能
○物件情報・価格情報の提供・説明機能
○住宅取得に際してのコンシェルジュ機能
○地域内の不動産についての「市場代行」を果たし、透明性のある不動産流通マーケットを創造する機能

不動産仲介業は、これらの役割を世の中から求められているのであり、これが存立基盤そのものです。

しかし、ネット社会、情報化社会へよ急速に変化した現時点で、不動産仲介業に求められるものは、これだけでは全く不十分です。

ネット社会においては、情報伝達が質量ともに劇的に変化することが求められています。

不動産の不動性・個別性、情報の断片性・散発性、需給の地域限定性といった特異性・ボトルネックを新たなテクノロジーでの解決が求められているのです。

これこそが、不動産仲介業が今の世の中から求められているものであり、ネット不動産を生み出した時代背景だといえます。

情報化社会の眼目は「消費者の機会ロスの低減」にあるとされています。平たくいえば、消費者の利便性を向上させるということです。だとするならば、先頭を切って、進んで需要サイド・消費者サイド重視のシステムを構築することこそ、21世紀に生き残れる業種として世の中から認めてもらえる唯一の道ではないでしょうか。

消費者の機会ロスをなくす、少なくするという視点から不動産仲介業を見ると、バーチャル店舗・ホームページの重要性が改めて分かります。

不動・個別・断片・散発情報をデータベース化することで、お客さまの情報ロスと時間ロスを低減する。つまり、情報伝達の効率化はネット不動産が出現して初めて可能となったのです。

情報伝達の効率化は時代が求めているものなのです。情報の「囲い込み」にこだわり、情報伝達の非効率、情報格差に存立基盤を置いていた旧い体質の仲介業者は、文字通り「存立の危機」に立たされているのではないでしょうか。

物件情報が広く、速く、無償でお客さまが入手できるようになった結果、物件情報の提供・仲介という役割は低下しました。それに代わって、お客さまが入手した物件情報の信頼性の判断やお客さまのニーズとの適合性の判断が重要になります。

つまり、物件情報を含む伝達情報の適性評価が不動産仲介業者に求められる第二の「重要事項」となったのです。

情報の適性評価は、開発・投資・流通・管理といった不動産のあらゆる局面で、専門的知識・能力を提供できるレベルの高さが求められます。

お客さまのニーズの多様化にともない、新しい業態が求められます。得意分野に特化するか、各分野の専門家とチームを組んで対応するかは、手法の分かれるところですが、いずれにせよ、専門的知識と知恵、レベルの高い知識・能力が求められている時代であることは確かです。

お客さまに物件情報を提供し、現地案内→契約→引き渡しで完結する成功報酬型・媒介型の従来モデルではない、メニュー提示型の新しいビジネスモデルも求められているのです。

メニュー型のビジネスとしては、ホームインスペクター(住宅性能検査)、物件価格の査定・判断、現地案内(内覧)の立会い、契約の点検・立会いなど様々なモデルが出現しています。

いずれも、メニュー提示を基本としながら、個別手数料型、エージェント型の不動産ビジネスとして、これからの時代に、伸びる分野と考えます。なぜならば、時代が求めているからです。

変化の激しい時代・ネット時代にあっては、固定的な知識・技能の保持よりも、学び続けること、学び続ける姿勢こそが最も大切なことではないでしょうか。

学歴よりは生涯を通して学ぶ姿勢、知識の量よりは知識の活用力、自分に足りない知識や知恵を他の分野から探し出してくる力こそが真の「学力」なのです。

わが国では、テストの準備、受験の準備をすることが勉強だと多くの人が勘違いをしているのが現実です。

テストのための勉強では、テストが終われば忘れてしまう。入試のための勉強では、入試が終われば、勉強することを止め、遊んでしまう。これでは、世の中に出て、本当に役に立つ「学力」や「実力」が身に付くはずありません。

「ネット不動産フロンティアノート」をまとめようと考え出した動機の一つに、この業界には、努力家、勉強家が少なくないということがありました。

●不動産仲介業に真剣に取り組んでいる人々との交流によって
●ネット不動産の現在の到達点と問題点を明らかにし
●業界の現状と業界のあり方、未来との関連で
●ノウハウと経験の交流と全面公開を通して
●「存立基盤」を確立し、厳しい時代を共に勝ち残る

こんなことに少しでもお役に立てたらフロンティアノートの目的は十二分に果たしたことになります。



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